「対話型授業のつくり方」講座実施レポート
2022/12/20 UPDATE
OBOG向けスキルセミナー
「対話型授業のつくり方」講座実施レポート
2022年11月6日
TKP田町カンファレンスセンター

奨学生OBOGと現役奨学生の皆さまへ
教職員になられてからも、
学び合いと支え合いの場を提供したい
 11月6日(日)「対話型授業のつくり方」講座をTKP田町カンファレンスセンターにて開催しました。博報堂教育財団では、今回を皮切りに様々な『学び合いと支え合いの場』を提供して行きます。多忙な若手教員の皆さん22名が参加。リアル参加11名、オンライン参加11名での実施となりました。
最初に講座概要をご説明
 講師「大木浩士」さんによるこの講座。教員向けに神奈川県教育委員会で数々開催した内容をアレンジいただきました。言葉では説明できない対話の心構えや技術を巧みに伝え、一般には難しい傾聴の技術をも伝える「うちでもやってほしい」「もう一回」と、受講者のこころを鷲掴みにしてしまう内容なのです。今年「奨学生春の研修」で実施し、これまで実施した奨学生講座でNo.1の満足度でした。今回は更にOBOG教員の方への「対話型授業の困りごと」アンケートさらには教員オンライン取材を経て改訂を施しての実施となりました。
みんな真剣。朝から熱気が伝わります。
 講座は10:00にスタート。まず中馬常務理事よりご挨拶。
 お休みの朝なのに、全く眠い表情一つない。やはり個性も力量も様々な子ども・生徒の対話促進で日々ご苦労されている教員の皆さん。それだけに最初からよい緊張感が熱量をもって漂っています。
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中馬常務理事のご挨拶
 大木さんの講義は10:30に始まりました。昼休憩をはさんで15:30までの長丁場です。。大木講師による精密に設計されたプログラム通りに進行。講義とグループワーク(対話)の繰り返しによって進んでいきました。リアルはもちろん、オンライン参加者も「揺れる眼差し」なく、真剣な中にもリラックス感漂う様子です。
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講座のタイムスケジュール。なんと精密に設計されているのでしょう。
具体的な対話技術の講義とグループワークの繰り返しで、身に良く着く進行
 大木さんの自己紹介から始まり、講座は「コミュニケーション基礎力の指導」からスタート。相手が聞こえる「声の大きさ」で相手が頭の中に画像が浮かぶように具体的に情報を伝える、自分ならではの情報を大切に、人に合わせることにとらわれない、名前はゆっくり丁寧に・・・ここは奨学生時代からコミュニケーション上手な皆さん、腹落ちした様子で頷いていました。
 そして対話型授業の技術「4つの慣れ」「人間関係づくりの技術」の講義を経てグループで自己紹介体験。ついで「人間関係づくり」「広げる話し合い、絞る話し合い」などの対話技術の講義を経て、「最近ハマっていること」をテーマにグループひとりひとりが発表し「なんで?」とつっこむ体験ワーク。数十秒の中で伝わりやすく絵になる話、リアルもオンライン参加の皆さんも話がわかりやすく楽しそう。
 「ハマっているのはスノボ。理由は真っ白な世界を走り抜けると、色んなことを忘れて頭の中まで爽快になれること」
 「アニメ鑑賞です。生徒と話が合うように始めたのですが休みの1日を部屋で費やすほどに。理由は自分に残っている幼児性の芽生え(笑)かも」など多様な趣味が語られて、理由も明確にお話しが弾んでいました。
 初対面の人同士も、「ハマりごと」がテーマとなると共感できて、お互いの距離も急接近して行きました。
 児童生徒の抱える問題や指導のポイントを自分が体験してみることは、教員にとって非常に効果的な学びなのですね。
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講師「大木浩士」さんご挨拶。スクリーンにはオンライン参加の皆さん。2期生の杉江さんは、なんと留学中のマルタから参加してくれました。
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最初のグループワークは「挨拶」。最高に嬉しかった瞬間を共有した後は和やかな笑顔です。
これは絶対役に立つ「言語化ノート」
 午前中最後は言語化ノートをつくる技術の講義冒頭に浮かんだことを言葉にして文字にして沢山書き出す自分だけのノート。考えを説明できない子も、このノートに書くことが楽しくなり、どんどん浮かぶようになる、アイデアが閃いたりするのです。この講義を受けていない人も始めてみると良いかもしれません。
 参加者の皆さんからは「授業に使えるね~」「私もやってみよう」とグループでシェアする様子もうかがえました。
 「我が授業でいただき!」参加者の皆さんの中には早速翌日の授業で生徒に紹介。「自分の考えの可視化の重要性として説明したらすごく生徒がうなずいて聞いていた。」と大喜びしている様子でした。
昼休みの交流を終えて午後の講座
対話技術の講義とグループワークを繰り返します。
 対話の技術「段階的に設計する」「自己開示」の講義からの始まりです。実は教育現場ではいきなり難しいお題を示して無理やり話し合う授業を始める教員も結構多いそうです。
 それが児童・生徒にとって如何に難しく言葉が出なくしてしまうものかの説明、どうやって対話を通して深い学びに導くかを、大木さんが実感に訴えながら進めます。
 まずは個人で考えてから話し合うこと。個人で考えるとき、難しい課題は分解する、話し合いは楽しく話せる話題からスタートする。同時に複数のゴールを示さないことなどの講義に続き、「中学生がワクワクするイベントのアイデア」をお題に、どのような個人作業を行うかの説明と「広げる話し合い」「絞る話し合い」から「発表」に至る実例の説明。
 とくに「広げる」⇒「絞る」という話し合いの手順には「そうか」と大きく頷く納得の表情をしている人が多かったです。
 一人二人に聞いてみると「段階に分けて話し合うことが、頭の使い方がはっきり分かれれるのですごく考えやすくて話しやすいです。」
 「苦心している対話授業に明かりが灯った気持ち。活用します。」との返答でした。対話型授業にご苦労されていることが良くわかりました。
 役にたって良かったですね。
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「先生という仕事の魅力」について、自らを振り返りグループ対話でシェアすることで沢山の発見があったようです。
 そして本日ラストのグループワークと発表。「先生という仕事の魅力」を同様のプロセスで作業、話し合いして、グループごとにまとめて発表です。対話の技術を身に着けて話し合う「先生とその仕事の魅力」皆さんの様子を見ていると、よくうなずいて話し手の話を聴き、ときに「うん、そう、はい」といった相槌を入れている人もいました。そうすることで話し手の話がテンポよくなって行きます。そして、もっと話したそうな人には「○○さんはどう?」と質問してあげるなどの機転を利かせる人も出てきました。
 開始から比べるとすごく場が優しく和み、話が活性化しています。「広げる」「絞る」の切り替えも自然にできているではありませんか。
 加えてその対話を聴いて驚いたのは、皆さんが先生の仕事を多面的な角度から考え、それに柔軟に対応しようとしていることです。
 例えば、「公務員としての教員は生活が安定している一方制度やルールに縛られていて沢山の事務仕事を生むけど逃げはできないから効率化を考えて行く。」といった話し合い。そして初心で抱いた「教員像の夢」を失わす、現実を乗り越える力として、様々な創意工夫を生んでいることです。グループ全員が熱くて心地よい話を共有して、自分の仕事の心得から中身まで気づきも沢山得ている様子。これぞ対話力の向上。 
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グループ発表のシーン 皆さん堂々として落ち着いた発表は流石教員
講座は「心構え」と「ふりかえり」をラストに
 講座もいよいよラストへ、大木さんの「対話型授業の心構え」説明。沢山の技術講義とグループワークの最後に心構えを解説。染み込んだ記憶が増幅されます。
 そしてラストは振り返りすなわち言語化ノートの体験を個々に行い、参加者の感想を一巡して綺麗に終了。
 「大木先生!ありがとうございました。」リアル参加者はもちろん、オンラインからも音が聞こえるかのような拍手でした。(マイクはミュート)
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オンライン参加者に丁寧に語りかける大木さん
ここでSCOOP !
やはりこの人はMr.号外でした。大隅さん「ワシ結婚しましたんや(^^♪)と、突然の発表
 涙した人など一人も出ず、笑いの渦でした。最近知り合った同士でのスピード婚だそうです。
おめでとうございます(^^♪
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突然の指名に慌てながらもにこやかな大隅さん。
そして記念撮影
 リアル参加者とオンライン参加者全員集合で、とびっきりの笑顔。
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大木さん参加者(オンライン参加者はバックのスクリーン)記念写真 丸1日おつかれさまでした。
ミニ懇親会
 残念ながらオンライン参加の皆さんとは😢😢のお別れをして、別会場で懇親会を行いました。リアル参加者全員が都合をつけて11人全員参加。多彩な話に盛り上がっていました。
 身に良くつく対話力 講座の成果でしょうか?
 1時間と少々の短い時間でしたが、財団岩代さんの中締めで終了。おつかれさまでした。
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リアル参加者がオンライン参加者に手を振って「さようなら」「お元気で~」
まとめ
 この講座を終えて、参加者に依頼したアンケートが戻ってきました。全員に満足を頂いたという結果でした。
 中身を読み込むと「具体的で、明日から応用できる技術が多かった」「子どもとの日常の関係づくりにも使える」など、参加した教員の皆さんが抱える「対話授業の困りごと」に丹念に応えた講座であったことがわかりました。
 財団では、教員の皆さんの現業ニーズに応える講座第二弾として、OBOGを対象に、大木浩士講師による「プレゼンテーション力基礎講座」を2月19日(日)に実施いたします。
 是非ご参加ください。詳細は12月下旬にメールでご案内いたします。
 奨学生の皆さまには3月4日「春の研修」で、大木さんによるプレゼンテーションについての講座を行います。
この記事は、奨学生のOBOG向けですが、今回現役奨学生にも配信しています。
コピーや転送、対象外の人の閲覧は、厳禁とします。